このコラムは、行政書士Sが、「お文具さんに似ている妻」こと「おぶ妻」の「相続手続きの謎」についてバシッとお答えしていきましょう!というコラムになります。
今回は、相続の承認についてのお話です。
おぶ妻「晩御飯プリンじゃなかった!」
S「まぁまぁ、今度プリン買ってあげるから。」
おぶ妻「やったぁ。それで、この前の話の続きだけど、相続の承認って何?」
S「相続の承認とは、言葉通り、相続しますと認めることです。相続の承認も、原則として、相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければなりませんし、相続の承認をした後は熟慮期間内であっても、原則として、撤回することはできません。そして、相続の承認には、単純承認と限定承認があります。」
おぶ妻「限定商品!?期間限定お菓子のこと!?」
S「限定承認(げんていしょうにん)です。限定承認とは、相続人が相続によって得たプラスの財産の限度でのみ亡くなった方の債務などのマイナスの部分を負担するという留保付きで相続を承認することです。」
おぶ妻「(お菓子じゃなかった…(笑))どういうこと?」
S「例えば、亡くなった方に借金があったとしても、相続人は相続した財産の中から返済すればよくて、それだけで全額返済できなくても、自分のお金から返済する必要はないということです。」
おぶ妻「なるほど!」
S「これに対して、単純承認とは、プラスもマイナスも含めて亡くなった方の財産を全面的に承継することを内容として相続を承認することです。」
おぶ妻「単純承認した場合は、相続したプラスの財産より借金が多かったとしたら、相続人は自分のお金から借金を返済する必要があるってことだね。」
S「その通りです。限定承認の方が単純承認よりもメリットがあるようにも思えますが、限定承認は、相続人が複数人いるときは全員が共同して行わなければなりませんし、相続財産目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認する旨を家庭裁判所へ申述しなければならないなど手続きに手間がかかります。」
おぶ妻「単純承認は手間がかからないの?」
S「単純承認は、家庭裁判所への申述をする必要はありませんので、そういった意味では手間はかからないと言えるでしょう。なお、単純承認する意思の有無にかかわらず単純承認をしたものとみなされる法定単純承認というものがありますので注意が必要です。その点は次回お話しましょう。」
おぶ妻「それでは、また次回をお楽しみに!」
S「(またセリフとられた…)」