このコラムは、行政書士Sが、「お文具さんに似ている妻」こと「おぶ妻」の「相続手続きの謎」についてバシッとお答えしていきましょう!というコラムになります。
今回は、その3の相続放棄のお話の続きです。
おぶ妻「もぐもぐ…それで…もぐ…相続放棄についての注意すべき点って何?」
S「(まだかりんとう食べてる…)それは、相続放棄は、原則として、“相続人が自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内”にしなければならないということです。この期間を熟慮期間と言います。」
おぶ妻「え?熟女期間!?」
S「熟慮期間(じゅくりょきかん)です。“熟慮”とは“よくよく考えること”という意味です。つまり、この3か月の期間内に相続放棄するかどうかをよく考えてねということです。」
おぶ妻「ちょっと待って!“3か月以内”っていうのは分かるけど、“自己のために相続の開始があったことを知ったときから”ってどういうこと?“亡くなって相続が開始したときから”ではないの?」
S「亡くなって相続が開始したことをすぐに知ることができる場合は、“自己のために相続の開始があったことを知ったとき”と“亡くなって相続が開始したとき”がほぼ同じ時点ですが、そうでない場合もありますので、そうでない場合に配慮した言い回しになっています。」
おぶ妻「例えばどんな場合?」
S「亡くなった方とその相続人が疎遠だった場合ですとか、行方不明になった方を生きていると信じて捜索したけれども発見されたときには既に亡くなった後だった場合などです。この場合に熟慮期間の始まりを“亡くなって相続が開始したときから”としてしまうと、亡くなったことを知ったときには既に熟慮期間が進行していて短くなっていたり過ぎていたりする可能性があるため、不都合ですよね。」
おぶ妻「それなら、熟慮期間なんて無くして、いつでも相続放棄できるようにしたらいいんじゃない?私って天才!?」
S「(そうすると、また別の問題が生じてしまうのですが…)それについては、次回お話しましょう。」
おぶ妻「(私って政治家の才能があるかもしれないな…)」
S「それでは、また次回をお楽しみに!」